痛み体験⑤

2009年01月11日

西賀茂から原谷への移動途中
「はら減ったな」と思い、たまに寄るパン屋へ。おばあちゃんが店番です。かなりのお年でレジもあやしいんです。今日はレジは無人。そのうち気付いて出てくるだろうとハムステーキサンドを購入。来ない。
「すんません」3回。来ない。調理場というか、裏を覗くとおばあちゃんが頭をテーブルにつけてつっぷしています。
「えっ、まじ? 救急車? 勘弁して、動いてや」と思いつつ、こわごわ声をかけます。
「すんません。すんません。すみません……」
「あ、はい」
「よかった~。生きてた」パンの値段は210円。なんとか小銭があればと思うもなし。仕方なく1000円札。パンの値段も3回言ってやっと通じ、お釣りで手こずりました。790円もらわなあかんのに、おばあちゃんが100円玉と10円玉を間違わはって、700円しかない。急いでるし、まあええか、いやあかん。ちゃんとせな。といちいちばあちゃんに説明。やっと片づけて店を出ました。119を呼ばんでよかった~。

では、お待ちかね(誰も待ってへん)、昨日の続きです。
で、その当日。夏の日ですね。暑かった覚えがあります。手術室は冷房が効きすぎ、冷えてました。
「では、麻酔を打ちますね」
「はい」
「今日は珍しいものを見られるので私もごいっしょさせていただきます」と大先生。主治医の先生は私と同年輩。そのお父上が介添え(?)をなさいます。チクリと麻酔。
「では、開きます」メスが皮膚をツツーっと走ります。開いた瞬間お二人が声をそろえて
「おおー」
「ええ、何が『おおー』なん?いったいどうしたん」と思いますよね。
「これはすごいな」と大先生。
「ですね。かなりですね」と小先生。
「のみと金づちを持って来るわ」と大先生。
「のみと金づち? いったいなんなん?」と俺は思います。
「長い年月のうちに骨が育って、金具にかぶってますので、削らないととれないようです。骨を削りますね」
「あ、はい。(鎖骨を、俺の骨をのみで削んねや。ほんまかいな)」とは言ったものの、いったいこの後どうなんのかなと不安いっぱいです。そこへ大先生がのみと金づち(もちろん医療用だ思います)を持って再登場。
「それではやらせてもらいます。ちょっと響きますし、痛かったら言ってくださいね」といきなりガーンときました。麻酔が効いているから痛くはないものの、やはり自分の骨をのみで削られていると思うと……形容しがたい衝撃があります。看護師さん(女性)もさすがにあまり目にしない光景なのかこわごわ声をかけてくれます。
「だいじょうぶですか」
「あ、はい」とは言うもののかなりの打撃感があります。
「カン」
「ウ」
「カン」
「ウ」
「ガン」
「ヴッ」
「1時間の予定で麻酔をしてますので、切れて痛み出したら言ってくださいね」
「はい(えッ、麻酔切れんの。いややなあ)」そのうちほんとに痛みが感じられ
「先生、ちょっと痛いんですが」
「あ、そうですか。では、麻酔を打ちますね」
「はい、お願いします」もうすでに汗だくでしたね。冷房の冷えなんてなんのその。脂汗、冷や汗だくだく。つゆだくの牛丼でした。
やっとのおもいで私の体内から出た金具、先生が
「どうします? こちらで処分しますか、それともお持ち帰りになりますか」
「せっかくですし、わが体内に長くあったやつだしもらって帰りますね」と持ち帰り、それ以来お守りよろしくキーホルダーに付けています。
これで痛み体験すべてお披露目でしょうかね。またあれば公開させていただきます。
では、また。