念ずれば花開く

2009年11月15日

『あの人この人いい話』(文芸春秋編)という本を読み終えました。「オール讀物」のコラム『ちょっといい話』を文庫化したものです。その中に「念ずれば花開く」(山根一眞さん)の項があります。引用します。

ー私がNHK『ミッドナイトジャーナル』のキャスター仕事を始めて2年目になろうかという1992年の2月6日、英国のロック・ミュージシャン、デビッド・ボウイを招いての生放送インタビューがあった。世界的な大スター。ファンにとってはボウイから1メートル以内のところに身を置いておしゃべりするなど、羨望以上のものがあるに違いない。そこで、「テレビを見ている日本中のファンにとって今、あなたが吐いた息を私が吸っているなんて、きっと許しがたいことだと思います」と、言ってみた。ボウイは上機嫌になり、後、インタビューはきわめて円滑。よしよし、今日のインタビューはうまくいったぜ。
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そういうファンがたぶんいるはずだと空想して言っただけだったが、思いがけず日本一のファンがすぐそばにいた。番組終了後に控え室に戻ると、少し前まで私のメイクアップを担当していた美容師のA子さんがいた。ぼーっとしている彼女を指して、別のメイクの女の子がこう言うではないか。
「彼女、デビッド・ボウイの大ファンで、どうしても彼に会いたいと念じてきたんです。それで、テレビの仕事をすればきっとボウイに会える機会がくる、そのテレビ局の仕事をするには美容師になればいいんだ、って。それで今日だけ担当を代わってあげたんです」
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大スターに会いたいという一念で生涯の仕事を選び、本当にその願いがかなった。
「念ずれば花開く」
彼女の毎日は祈りの日々だったに違いない。
その彼女の、花が開く日を前にして、誰一人として「芸能人に会いたいだけだろ」とは言わなかった。皆が、彼女がボウイと会う瞬間を最高のものとするための手助けを厭わなかった。国際ニュース担当の男性キャスターは、1週間かけて彼女に英語の特訓を申し出た。「私はあなたに会うために、この仕事を選びました。今日は夢が実現して幸せです」とだけ、英語でボウイに話せるように。その英語はちゃんと通じ、ボウイはとても感激してくれたという。
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そうか、ボウイがインタビューですこぶるご機嫌だったのは、彼女のおかげだったんだ。念じ続けて花を開かせた人には勝てぬ。軽く血インタビューで悦に入っていた私は深く反省。(平成6年9月号)ー

原文のまま引用させていただきました。長くて打つのに苦労しました。
この話がわたしの琴線に触れました。なんということもない話かもしれませんが、いい話だと思いませんか。
「思えばかなう」でしょうか。そう強く思いつつ生きましょう。

昨日、今日と衣中のテスト対策。みんな頑張っていました。
俺もがんばりました。スタッフもね。これが少しでも生徒たちの結果につながればいいんですがね。
では、やすもうかな……

日付変わって53になりました。平均寿命からいうと8分の5を過ごしていることになります。けっこう生きましたね。
こんどこそ、では。