やれ、うれしや

2012年12月05日

ゼミの前をぴっかぴかで真っ黒のフォルクスワーゲンゴルフが通ります。やり過ごして道路を渡ろうとしていると止まります。
「ん? 俺の知り合いにこの車はないな」
助手席の窓が開くので覗き込むと青年が一人。
「Mです」
「おお、お兄ちゃんの方やな。Yくんや」
「うれしいな。覚えててくれてはんねや」 
「えらいええ車乗って、今どうしてんの」
「配送業やってます」
「え、運送屋さんか。えらい景気ええやん。いっぱい稼いでんのか」
「いや、ちょっと無理しました」
「350くらいはすんのちゃうん」
「え、まあ。いや、知り合いが買うてすぐいらんし売るってなったんで、だいぶ安う手に入ったんです」
「そうか。弟のMは今年高3やんな。どうしてんねや」
「K電鉄に就職決まりました」
「おおおお、そうか。すごいなよかったな」

お母さんも一安心されているでしょう。2年ほど前に会ったときYくんは脚を折って療養中、しかもフリーターでした。それが今ではきちんと定職を持ち、外車まで買ってしまったんですから、すごいです。
弟も中3のときは頼りないやつやったのにちゃんと就職したんですね。

寒かったんですがとってもうれしくて気持ちがあったかくなりました。生徒の成長を目の当たりにすることほどうれしいことはありません。

「じゅうぶん気をつけて運転しいや」
「はい。ありがとうございます」と別れました。

Y、Mくん兄弟のさらなる成長を、他の関わった全生徒の活躍を、祈りつつやすみます。