次の春、そして夏

2015年05月23日

「ちょっと走ろう」と出発。
10分も行かぬうちにおばあさんが歩道にへたり込んでいます。
「だいじょうぶですか」
「だいじょうぶ。だいじょうぶ」と言いますが心配。軽トラのおじさんも車を止めて声をかけてくれます。
おばあさん立ち上がって歩き始めたんで私も走りを再開。軽トラの人にも行ってもらいました。
でも心配。引き返してやり過ごし後ろからついていきました。

足元覚束ず不安。
「だいじょうぶですか。家はどこですか? 何町? お名前は?」受け答えはできますが心もとない。
「そこ曲がったとこやし、だいじょうぶや」と言いながら曲がりましたがきょとんとされています。
「これまずいな」と心で。
そこにいたおじさんに尋ねました。
「タテクラ町ってご存知ですか」
「ここは狭間町やし・・・」
「いや、このおばあさんが迷って家がわからんみたいなんですよ。どうしましょ。この近く派出所ありましたっけ」
「だいぶ西やけどあるねえ」
「あ、あそこか。上賀茂神社の辺ですね。走って行ってきますし、すみませんけど、おばあさん見といてもらえますか」

走って行きつつ考えます。
「ひょっとして『徘徊老人』かなあ」と。「おまわりさんいはらへんかったらどうしょ。あの黒電話で連絡せなあかんのかな」
いつもよりかなり速いペースで走って到着。おまわりさんに事情を伝えます。

「すぐ行きます。どの辺ですか」地図をさしつつ。
「この辺です。私も走ってもどりますんで」地図をさしつつ。

もどるとかなりこっちまでおばあさんと世話をお願いした方が来ていました。おまわりさんもバイクで駆けつけてくれました。

それからはおまわりさんが引き受けてくれたんで、おばあさんに付き添ってくれた方にお礼を言って走り再開。

電話番号と名前を告げましたがなんの連絡もないんできっと事なきを得たんでしょう。


今思うと博愛会病院に入院されていたおばあさんではないかなとは思います。
しっかりされていたようですが、ちょっと会話がちぐはぐ、かみ合いませんでした。

初めて「老い」を感じる場面に遭遇しました。

「私もあんなんなるんかなあ」と。他人に迷惑はかけたくありません。

しっかり自分を生きつつこの世を去れるよう努力します。
努力でできることではないのはわかっていますが、気持ちだけでもそのつもりでいきます。


あちこちでツバメのヒナの声が聞こえています。

%E3%81%A4%E3%81%B0%E3%82%81%EF%BC%92.jpg

また1年が巡りました。

次の春、初夏も元気で迎えます。